たまには天界の者らしい話をしないと、次第に誰からも信じてもらえなくなると思うので、今回はサンタ会議の話をしたいと思う。
サンタ会議と言っても、こちらは正真正銘の本物のサンタクロース。グリーンランド国際サンタクロース協会とは全くの別物です。
真実というのは証明できないものであり、いつの時代だって信じてもらえないものだけど、まあ信じてもらえなくていいから真実を話します。
継続して読んでいただいている方はそろそろ忘れかけですかね、あらためてタイトルをご覧ください。
大天使ハヤエルの天界から来ました。vol.16
そう私、大天使です。
サンタクロースってのは結構忙しい。
まず、受け止められないものがあると思うので、前提をいくつか話す。ああ、そういうものなんだなと受け止めていただければすんなりと進む。
毎年、サンタクロースが集まる会議というのが開かれる。トナカイの代表も参加し、年に複数回集まって会議が行われています。
3月頃に前年の報告と改善点の議論がなされ、6月前後に各役員の任命と大体の地域割りが行われます。子供たちに贈るプレゼントは先進国の場合トレンドが重要視されるため、9月末頃から吟味されます。
どのくらいの人数に送るのかとか誰が任命されているのかとか、どのトナカイが話せて飛べるのかという話は残念ながら公表できません。大きなスポンサーとしてはトイザらスさんが居まして、その他各玩具メーカーが関与しています。
サンタクロースの正体は親?それは実はサンタじゃない。
両親や親類がサンタのふりをしてプレゼントを渡すという文化がどこの国にもあります。それにより子供たちからの評価が落ちるという風評被害に遭う部分はあれど、我々サンタ側からすると回らなくても存在を維持できるという点では感謝している部分でもあります。
なぜか中学に上がったら「もういいだろ」みたいに言い出す親もいると言いますが、我々は特に年齢で分けたりはしていません。詳細の言及は避けますが、配布先を検討する部署があり、ある条件の下で点数化されて、プレゼントを配るかどうかを決めています。
そのため、親からもらったのにもう一つあった、ということも多々あります。以前同じプレゼントを与えてしまったという経験から、親がどういうプレゼントを選ぶかというのもデータ化するようになり、ここ最近ではそういうミスもなくなりました。
親があげていないはずなのにもらっている子
サンタさん来たーとか、プレゼントもらったよという子供に対し、「あげてないのに何言っているの?」と思った親、毎年います。それ、大体我々があげています。
我々としてはそこで疑いすぎることなく「よかったねー」と答えておいていただけるとありがたいです。実際、そうしてくださっている親がたくさんいると報告を受けており安堵しています。
じゃあなぜサンタからもらった子が目立たないのか?これは、傍から見て差異が付きにくいというのもありますが、クリスマスを過ぎたら大抵忘れてしまうからというのが大きいです。
クリスマスにプレゼントをもらったという記憶しか残りません。その時のプレゼントが誰からの物であったかを深く調べる子供というのはあまりいません。
サンタからプレゼントをもらうには?過去の珍しいプレゼントは?
「サンタさんからプレゼントをもらうために良い子にしていなさい。」
と言われたことのある方もいるかもしれませんが、実際はあまり関係ありません。そもそもこのいい子というのがその国の法律に則すという意味なのか、はたまた親に従うという意味なのか、状況によって異なります。
先に話したように、我々独自のデータに基づいて点数化して決めているため、いい子でいるというのが正しいとは言えません。
たとえば、昨年の会議では、「新築に引っ越したため以前に比べセキュリティが厳重で、プレゼントを置いたら逆に不自然」という理由で渡さなかった例もあります。
また、おもちゃがメインではありますが、もちろん洋服や食料のこともあります。さらには子供にしか与えないわけではなく、一部成人済みの人々にも与えることがあります。
地域単位であげたことのあるプレゼントとしては水や雨雲などもありますし、個人としては79歳の楽しみが無いと嘆く老人に、先に逝った奥さんが出てくる夢をプレゼントしたりもしました。職を与えたり時間を与えたりもしています。
全てが形あるものとは限らないというのがポイントです。
最近はソリを引くのはトナカイだけではない。また、ソリ以外の型が増えた。
昔はソリが最も効率よく大量の荷物を運べ、コストもかからないため重宝されていたのですが、高さがあるものが増え、落としたときに取りに行くのが大変だということで、ショッピングカートのような形状のものが増えました。
また、ご存知の方もいるとは思いますが、トナカイだけではなく、鹿や羊、熊やトラなんかも手伝ってくれています。トナカイは大体世襲制で一定数働いてくれています。
これは、時代の流れで宗教色の薄まりにより地域が広がり、トナカイだけでは手に負えないというトナカイ側からの主張により、毎年公募で5月に採用しています。6月の役員決定後に研修へと移り、各々の得意分野を生かし12月を迎えています。
サンタは遊びじゃない。
少しだけサンタクロースの内情を話しました。
フィクションだと思っていただいて構いません。目に見えないものは信じないほうが生きやすいのが社会というものです。
しかしながら、毎年サンタは苦労しているんだよというのを知っていただきたい。
「なんでうちにはサンタが来てくれないんだ」と嘆く方、たくさんいらっしゃるのも知っています。まれに投書が届いていることもありますし、どこで知ったのか脅迫のFAXが届くこともございます。
それでもめげずに文化を守りたい。幸せを分かち合いたいという気持ちで我々は頑張っています。
だから、申し訳ないのですが、「もらえたらラッキー」くらいで過ごしてください。これを知ったからと言って「じゃあうちの子には来年あげないでいいや」とならないでください。
皆様のご協力、よろしくお願いいたします。
以上、『信じてもらえたことが無い話①サンタ会議【vol.16】』でした。