てんきた

不謹慎が楽しい【vol.2】

天界から来ました。

なんとなく似合う名前ってのが私の中であるもんだから、うちの編集の名前は中島にしようと思う。読み方は「ナカシマ」なんだけど、「ナカジマ」って呼ばれる中島だ。

編集の中島。いないけど、そんなやつ。でももしそのうち「編集やります!」って声が上がったら、そいつの名前がなんであれ中島になってもらう。今のところは脳内での中島だ。

ちなみに編集の役割は「次の締め切りまであと何日です!」って連絡をたまにくれるだけでいい。

不謹慎が楽しい

私は昔から不謹慎だと言われる。災害とか事件を楽しんだり、パロったり頻繁にネタにする。人のケガだったり身内の不幸だったりもネタにする。

面白ければいいって言う感覚ももちろんあるけど、もっというと楽しければいい。事件や災害をきっかけに妄想が膨らんで面白くなりそうだなと思ったら周りに話す。

「いやー不謹慎だなほんと」と言うくせに笑ってる。類は友を呼ぶという言葉を作った人に遺伝子解析とかやらせればもっと進んでいたのかもしれない。

 

いつからだろう、不謹慎なのが悪いことになったのは。身内ネタすら許されないんだろうか。

TPOという言葉はもっと流行っていた気はするけれどもいまいち浸透していないんだじゃないだろうか。

せっかく時と場所と場合を気にしようって言葉なのに、こういう時にはこうしなきゃならないんだぞっていうどちらかというとネガティブなイメージしか残っていない。

フォーマルな場なんだからネクタイぐらい締めようぜっていう堅苦しくて肩苦しい内容しか残っていない。

風呂には裸で入ろうぜってのもTPOだと思うんだ。

 

身内で見知った中というごくごく小さなコミュニティで話す場合、むしろ不謹慎であれとすら思っている。こまけーこと気にしてんじゃないよっていう。

普段はお母さんと呼んでいてもババアと言ったってかまわないし、相手のお母さんのことをおまえのババアって呼んだところで誰も困らない。(と思う)

個人や障害だって面白おかしく話したっていいんだよ。老人ホームに行って「奥歯の無いジジイはおっちんじまったほうがいい」って直接言うわけでも無いんだから。

 

たとえばうちの父親なんかは故人をイジる。

母方のじいさんの葬式の時に、久々に父と葬式に出た。

会うと仲良くお喋りをする叔母さんたちがいるんだけど、じいさんの葬式の時うちの父親が祭壇を指さしながら叔母さんをあおった。

「おばちゃん、ほら、木魚空いてるよ。」

坊さんがまだ来ていなかったので、祭壇の前は誰もいなかった。叔母は喜んで木魚をたたき適当に唱え始めた。

「なんまんだぶ、なんまんだぶ~」

ゲラゲラ笑いながら楽しんでいる。うちの葬式はにぎやかだ。

大体の仕掛け人はうちの父なわけで、あろうことか母の父親の葬儀の場で、

「おいハヤエル、これでじっちゃんの名にかけてって言えるな!」

とふざけやがった。まったくもって不謹慎である。

 

でも私は思う。その場が許しているならそれは不謹慎ではないんじゃなかろうかと。

いちいち目くじら立てて「おい不謹慎だぞ、やめろ!」と言っている奴の方が、その場にそぐわない不謹慎な奴だと思う。

それが例え駅であれ、レストランであれ、葬式であれ、話している相手が誰なのかによって不謹慎かどうかは変わる。

むしろなんでも不謹慎だ、人としてどうかしているとたしなめようとする奴は自分のつまらない偏見を押し付けているだけだということをわかっていない。

 

なんで私が大学の同期と話す下ネタが中学2年の女子の道徳に反するかを考える必要があるだろうか。

何故私が葬式の場で父や親戚とふざけた内容が5歳の男の子の将来に影響を及ぼさないか心配しなくてはいけないのか。

どうして中学からの同級生と女はこれだからなあって言っていたところをわざわざフェミニストに報告して声明をぶつけられなければならないのか。

 

他所では不謹慎と言われることをここだけは良いよねって許される場で面白おかしく話すことは、特別感も相まってとても面白いよ。相手と特別な世界を共有するのが楽しい。

そして、それを楽しめる奴の方が本当に言ってはいけない場では言わない。

むしろ全部不謹慎だと言って、自分は常識人だと思い込んでいる奴らに限って言うべきこと言わないでおくべきことがわからない。自分の世界でしか生きていないからだ。

 

だから私は不謹慎だと言われても姿勢を変えないよ。私の中での面白さがそこにあるから。

26cmの足に26cmの靴を履かせるような世界じゃなく、27.5cmくらいで紐を緩めにしておきたい。

 

じいさんの葬儀ではみんなで夜通し笑ってた。そして出棺の時にはみんなで泣いていた。骨を拾いながらみんなで泣いていた。

ふざけて話す父を見ながら、あんたの葬儀の時に私がその係できんのかなと少し不安になった。面倒だから私より長生きしてくんねえかな。

 

以上、『【大天使ハヤエルの天界から来ました。】不謹慎が楽しい【vol.2】』でした。